公開シンポジウム・課題研究

【公開シンポジウム】
教師教育の現在を秋田の地から照射する
「教員養成・研修の標準化と多様性、そして主体性」

日時

2022年9月17日(土)14:30~17:30

趣旨

 秋田は2007年度からスタートした、全国学力・学習状況調査(いわゆる「全国学力テスト」)において、小中学生が全国トップクラスの学力を有していることが明らかになり、一躍注目を浴びることになった。教育学の世界では、戦前の北方教育が有名であったが、1960年代初めの全国学力テストでは秋田県は下位に位置しており、当初、高学力という結果は県内の者にとっても意外なものと受け止められた。その「躍進」の秘密を探るべく秋田を訪問する自治体も多くあり、秋田の教師と県外の教師を1年程度交換派遣し、秋田の実践を学ぼうという取り組みが今も行われている。

 この秋田でどのような教員養成、及び教員研修が行われ、どのような資質能力が形成され、実践に結びついたのか。秋田県の小学校教員の6割、中学校教員の5割程度は秋田大学教育文化学部(1998年に教育学部から改組)の出身者が占め、現在も学部・教職大学院と秋田県教委や市町村教委との連携のもとに養成や研修が行われている。教師の授業力の高さ、学校の落ち着き、家庭学習への手厚いサポート、学校への地域の信頼などとともに、秋田の家庭環境や社会環境の良さも取り上げられるところである。しかし、急速な少子高齢化、人口減少、学校統廃合などは、秋田の教育に影を落としている。

 一方、急激な教育状況、社会状況の変化を踏まえて、中央教育審議会において、「令和の日本型学校教育」を担う新たな教師の学びの姿が検討されている。新学習指導要領の「主体的で対話的な深い学び」、「個別最適な学びと協働的な学び」の実現、そして、新型コロナの元で急加速された、Society5.0に向けたICT活用、対面とオンラインのハイブリッド、ビッグデータの活用など、子どもたちの学びだけでなく、教師の学びも変容が求められている。

 本シンポジウムでは、秋田の教育の成果と課題を踏まえながら、全国の状況、中教審での論議などを精査し、今後の教師の学びのあり方を検討する機会としたい。

内容

【登壇者】
 1)貞広斎子(千葉大学)会員外
   「中教審での議論を中心に-」
 2)阿部 昇(秋田大学名誉教授)
   「秋田の教員養成・研修を中心に」
 3)千々布敏弥(国立教育政策研究所)
   「全国的な教員研修を中心に」

【指定討論】 石井英真(京都大学)
【コーディネーター】 佐藤修司 (秋田大学) / 福島裕敏 (弘前大学)

【課題研究Ⅰ】
「令和の日本型教育」における<個別最適な学び>と<協働的な学び> ―<能力><評価>の視点から―」

日時

2022年9月18日(日)13:00~16:00

趣旨

 本課題研究部会は、社会の変容と教育改革下の学校の在り方を踏まえ、教師教育の課題を検討することを目的としている。今回焦点化するのは、答申「令和の日本型学校教育」と新学習指導要領に示す新しい学びである。

 答申と新学習指導要領のいずれにおいても、個人に焦点化された学びがクローズアップされている。そこでは、「一人一人の子どもの能力に沿って、丁寧に対応する」ため、画一的な上意下達の一斉授業からの飛翔となるという期待から、これを肯定的に迎えられる側面がある一方で、「個⼈化」を 推し進めて産業への「⼈材」を輩出する機能を強め、学校教育がますます産業界や経済界のために貢献する道具となる危険性を指摘する説もある。

 施策の評価がこのように両義的になる理由の一つとして、<教える・学ぶ>ことの取り上げ方の問題があげられる。

教室における授業の<教える・学ぶ>行為に注目が集まっているが、現実には、授業は学級でのその時間に終始するわけではなく、その後の「評価」に至るまでのサイクルとして位置づけられている。

このとき「指導と評価の一体化」に見られるように、実際の学びが、到達すべき目標から演繹的に想定されていることを考えれば、新たに構想される学びが画一的・一律的な形態ではなく個別に設定されたとしても、「十分な達成ができたかどうか」で、子どもたちは各自評定されることになる。そのような場合には、これまでの教育と何ら変わらず、子どもたちをバラバラに切り離し、他者化し、相互に競争の中に落とし込め「選別する学校」の機能には変化はない。

このように、個人に注目した学びという新たな施策も、学校における<授業の全体像>から見ると、多くが抱く子ども中心主義的なイメージから遠くかけ離れたものになりかねない。観点別評価が取り入れられたことにより、態度や意欲まで評価される点では、状況はさらに厳しくなっていくだろう。<個に応じた学び>の語感が描くポジティブな印象は、こうした評価やそこで測られ達成基準に埋め込まれた<能力>がどのようなものなのかを看過しているからではないのだろうか。

また「個別最適な学び」と対で示される「協働的な学び」について、それが何を示しているのかついては十分には問われていない。単に学習形態の違いとみなして、<個人学習―グループ学習>のサイクルを繰り返すととらえるのみの単純な見方は、さすがに教育の専門家の中では支持されないだろう。協働的な学びの具体例を参考にしつつ、授業における活動の実際や<学ぶ>ことの新たな側面を、そこから学び取る必要がある。

このとき、そもそも「個人」も「能力」も、他者との関係の中で協働的に培われるのであって、こうした概念には本来的に「共同性」が内包されるという指摘がある。学ぶことは個人に帰するという「常識」で満たされている現状では、この指摘は極めて重要な事項をはらんでいる。が、そうした「個人」のとらえ方や「能力観」について多くは語られていない。「協働的な学び」の重要性を指摘する中で、こうした指摘についても議論を深めていくことは重要である。さらにまた、そうした「協働的な学び」の中では、「評価」はどのようなものとしてあらわれるのか、これもまた検討されるべき課題である。

報告者の桜井氏は、学習の個別化がさらに学校の選抜機能を強化し、個人化を促す危険性を持つことをマクロな観点から多数の論考で指摘している。学級の中<教える・学ぶ>行為とその施策の現代的な課題について検討していただく。奈須氏は、山形県をフィールドとして「個別の学び・協働の学び」の実践に長くかかわってきた。その実践へのかかわりの中で、現場ではどのような新たな局面が切り開かれているのか、また、研究の側面ではどのような転換がみられるのか、それについて報告していただく。授業研究者としての浅井氏からは、授業研究の中で個に応じた学び(と協働的な学び)の系譜を示していただき、そこにどのような検討課題があるのかを指摘していただく。

より現実的な、よりマクロな、またより研究的な位置づけから、現代の<個に応じた学><協働的な学び>の施策を検討していきたい。

内容

 【話題提供者】 桜井 智恵子氏 (関西学院大学) / 奈須 正裕 (上智大学) / 浅井 幸子 (東京大学)
 【コメンテーター】 油布 佐和子 (早稲田大学)

【課題研究Ⅱ】
「大学における教職課程の「グランドデザイン」を描く」

日時

2022年9月18日(日)13:00~16:00

趣旨

 課題研究2「大学教育と教師教育」では、大学における教員養成のあり方について学際的・総合的な検討を行い、学術的基盤に基づいて日本独自の教員養成モデルを構築し、政策提言を行うことを目的としている。 特に、教員養成の「制度」と「カリキュラム」という二つを研究対象として取り上げ、理論的および実証的アプローチを統合的に推進することを通して、 大学における教員養成の理念や実態を明らかにするとともに、そのシステムの再構築に向けて、日本における教員養成の新たな高度化に向けた将来像を「グランドデザイン」として描くことを目指している。
 本研究大会では、その時点までの研究プロジェクトの進捗状況と研究成果を報告するとともに、学会内外の識者からのコメントをいただきつつ、参加者と協議を行い、大学における教員養成のあり方について検討を深めていきたい。
 なお、課題研究2が母体となって申請した科学研究費基盤研究Bが採択され、2021年度(一年次)の研究プロセス(開催された研究会の詳細など)については下記のHPで公開しているので、参照されたい。

https://projectresearch2.jsste.jp/

内容

【報告】 鹿毛雅治 (慶應義塾大学) / 岩田康之 (東京学芸大学) / 勝野正章 (東京大学)
【指定討論 】 松下佳代 (京都大学) / 高野和子 (明治大学)

【課題研究Ⅲ】
「諸外国における「教員不足」―議論の足場を探る」

日時

2022年9月18日(日)13:00~16:00

趣旨

 第10期の課題研究Ⅲ部(国際比較・交流)は、多様な教職ルート(教壇に立つためのルート)に焦点を当てて、国際比較研究を進めています。第31回大会では、アメリカ・ノルウェー・中国・ドイツの多様な教職ルートの実態を議論しました。その中で、各国に共通する背景として教員不足の問題が浮かび上がってきました。わが国でも、2022年1月に教員不足に関する調査結果(文部科学省)が示され、その内容をめぐって様々な議論が展開されています。しかし、一言で「教員不足」と言っても、何をもって「不足」としているのかという点において共通理解が曖昧であるために、論点が錯綜しているようにも見えます。教員不足は、教員定数に対する量的な問題なのでしょうか。そうではなく、普通免許状を有していない教員が数多く配置されているという問題なのでしょうか。こうした教員不足を議論するための足場をある程度固めた上で、教職ルートの多様化を含めた具体的な方策のあり方を検討する必要があると考えます。

そこで本課題研究では、教員不足に対する問題認識が各国・地域によってどのように異なっているのか(もしくは共通しているのか)を明らかにしていきます。そして、国際比較分析を通して、教員不足を議論するための足場を検討していきます。

内容

【発檀者】
オーストラリア:伊井義人 (大阪公立大学)
イギリス:植田みどり (国立教育政策研究所) *非会員
日本:原北祥悟 (崇城大学)
国際動向:佐藤仁 (福岡大学)

【若手研究者育成支援部】

日時

2022年9月16日(金)16:00~18:00

趣旨

準備中です。

内容

準備中です。